SAGANO BLOG

 7月29日(月)に、本校生徒39名が大阪大学を訪れ、核物理学についての知見を深めました。

 午前は大阪大学大学院理学研究科の川畑貴裕教授から、この世に存在している原子核の謎が宇宙の成り立ちと密接に関係があることについて、非常にわかりやすく御講義していただきました。例年、本講義は嵯峨野高校で実施していたのですが、今年度は大阪大学豊中キャンパスの理学研究科にて受講しました。なお、理学研究科には、日本初のノーベル賞受賞者 湯川秀樹博士がコロンビア大学で愛用されていた黒板が移設されており、御講義後に見学しました。この黒板はコミュニケーションスペースに設置されていて、学生が自由に使えるそうです。

 午後は吹田キャンパスに移動し、コロナ禍以降5年ぶりに大学生協の食堂で食事をしました。高校生にとっては、これも大学の雰囲気を直に味わう楽しい体験となりました。

 食事後は、大阪大学の核物理研究センターを訪問しました。まず、保坂淳教授から"物理学とはいかなる学問か"、"ミクロな世界を見るためには、なぜ巨大な装置とエネルギーが必要なのか"について御講義いただきました。また、核物理研究センターではアルファ線放出核種アスタチン-211を生成し、阪大病院などでのアルファ線核医学治療に供給するための新たな施設「TATサイクロトロン棟」が竣工し、実用化に向けた準備を整えるなど、医学分野への貢献についても御説明いただきました。

 ひきつづき福田光宏教授から加速器施設の説明後に加速器を見学しました。ここには世界有数の加速器-AVFサイクロトロンとリングサイクロトロンがあり、国内外から様々な研究者が実験に訪れ、成果が生み出されています。リングサイクロトロンでは、陽子なら光の速さの70%まで加速することが出来ます。

 1・2年生にとって、すべてを理解することは難しいかも知れませんが、設備の巨大さや複雑な構成を目の当たりにするだけでも、日進月歩の核物理研究の世界を充分に体感することができ、自分の将来の研究者としてのイメージを持つには充分な実りのあるサマーセミナーでした。

 
 
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