SAGANO BLOG

12月15日(日)、狂言部の定期公演「嵯峨野高校狂言の会」を開催しました。嵯峨野高校の狂言の取組は2009年に始まり、2011年から独自に公演を開くようになりましたので、今年が14回目になります。冬青庵能舞台では11回目。舞台と客席が近く、お客様の暖かい反応が伝わってくる、高校生にはありがたい会場です。

(1)「萩大名(はぎだいみょう)」
大名が萩の花見に行くと、庭の亭主が和歌を所望するというので大慌て。太郎冠者に助けを求めますが......。

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地方から京へ上ってきた大名は、無風流ではあるものの、どこかおおらかな人柄です。そうしたキャラクターをよく表現できていました。庭の亭主も、意地悪で大名を責めるのではなく、純粋に和歌が好きで最後の7文字を聞きたいという心情が伝わってきました。どちらも役者本人の持ち味なのかもしれません。

(2)「舎弟(しゃてい)」
兄が自分を「舎弟」と呼ぶのを不審に思った弟が、その意味を人に尋ねます。いたずら心を起こした物知りが「舎弟とは盗人のこと」と教えると......。

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もともとは「怜悧な兄が素朴な弟にやりこめられる」という筋書きの曲ですが、ここでも役者の持ち味が出て「おっとりした兄が直情な弟に振り回される」様子になり、ちょっと新鮮な感じが出たように思います。

どちらの曲でも、要所々々で客席から笑い声が上がり、休憩時間には「わかりやすかったね」という声も聞こえて、狂言の楽しさ面白さを伝えることができたのではないかと嬉しく思っています。これも、茂山千五郎先生はじめ茂山狂言会の先生方が懇切に御指導くださった賜物です。あらためて心から感謝を申し上げます。

休憩をはさんで、茂山千五郎先生と茂山虎真先生・茂山竜正先生が「太刀奪(たちうばい)」を演じてくださいました。声の響きや笑いの迫力は高校生の演技とは比べものにならず、太郎冠者が震え上がったり、転ばされたりする様子に客席が大いに沸き、伝統の芸の素晴らしさを堪能させていただきました。

狂言部の卒業生が何人も来てくれて、大学で勉学のかたわら、狂言や能楽、演劇などに打ち込んでいる近況を伝えてくれました。こうした良い伝統が続いていくよう、これからも励みたいと思います。

 
 
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