SAGANO BLOG

先輩からのメッセージ (9月21日掲載文の続き)
 


 社会で求められる力として「問題解決能力」や「コミュニケーション力」があげられることが多いですが、今一つ内容があいまいになりがちです。しかし今回寄稿していただいた先輩は、読み手(後輩)の立場に立って、具体的に表現してくださっています。
「相手を思いやる」、良きお手本だと思います。


2003年京都こすもす科自然科学系統卒業
市立福知山市民病院血液内科
西山 大地


■医師のやりがい、困難な点
 一般的に、病院には何かしらに困った人達(患者さん)が集まります。しかも生活や生きていく上において、ある程度「あきらめられない・後には回せない困り事」を抱えています。その問題点を的確にとらえ、"最適解"を提供することで、その人たちに「大きな幸せ」を提供できることは、我々にとって一番のやりがいになります。やや回りくどい言葉で表現しましたが、単に「病気を治す」だけでなく、その患者さん・家族に寄り添い、その場その場での最善の方法を模索していくことが、我々の仕事であるとつくづく感じています。良くなって退院されればそれは一番良いことですが、例え患者さんが亡くなられたとしても、様々な知識や方法によってどのようによりよい最後の時間を提供するかが重要であり、それを達成できた時は患者さん・家族から感謝の言葉をいただける、そのことが、どんなに日々の仕事が忙しくても継続していける我々医療従事者の"やりがい"につながっています。

逆に困難な点も多々あります。今の医学でも治らない病気は多々あり、「治癒」をあきらめないとならない時は苦しい気持ちになります。また、自分の采配が患者さんの人生に大きな影響を与えるため、「自分以外の医者だったらもっと良い結果だったのではないだろうか」と日々自問自答の繰り返しです。更に、医学というのは不確実な要素が多く、データ通り、予定通りに行かないことだらけです。患者さんがいつ体調悪くなるか、いつ事故に出くわすかなど分かるはずもなく、"不測の事態"に対応し続けないといけない点は、自分の時間や自分の家族の時間をある程度犠牲にして成り立っていると思います。一般的な家庭とは違う苦労を自分の家族には与えており、家族に申し訳ないと感じずにはいられません。


■この道に進むためには高校時代に何をするべきか
 もちろん受験勉強を頑張り医学部に合格するだけの実力をつけることは重要なことです。それ以外でも、上述した通り、「不確実な要素に立ち向かい、最適解を見出して解決していく力」は最も重要なことと考えます。いわゆる、「問題解決能力」です。それはどのように培われるか、日々の高校生活の中に重要なことは沢山あると思います。例えば、部活動においてどのようにすれば勝利を得られるか、そのための練習をどうしたらよいか、突然レギュラーに欠員が出た時、どうカバーするか、そういった場合を考えてA案・B案を日頃から想定して考えているか、など。文化祭の出し物の制作過程にも修学旅行の計画を立てる過程にも、受験勉強に取り組む過程にもちりばめられていると考えます。そういったことに、どれだけ真剣に熱く本気で打ち込むか、その繰り返しがどの職業に就いたとしても必要になってくる「問題解決能力」につながると信じています
 また、自分の考えを人に伝える力、いわゆる「プレゼンテーション能力や説明力」は人を相手とする仕事ではとても重要となる力です。どれだけすごい事を考えていても伝わらなければ世に広まりません。どれだけ日々勉強し患者さんのために尽くしていても、患者さんの理解力に合わせた説明、ニーズに合わせた説明ができなければ、理解の齟齬が生まれトラブルにすらなります。得た知識をかみ砕き、それをどのように分かりやすく説明・プレゼンテーションするかについては、人を相手にする仕事に就いたときにはどこででも必要となってきます。そしてそれが、国際言語である英語で行うことができればなお良く、英語でのコミュニケーション力は高校時代に培っておくべき一つの能力と考えます(参考サイトを後述※)。
 最後に、「人の気持ちをくみ取る力」「思いやりの気持ち」、この辺は友人や先生との高校生活、クラブ活動、地域サークル活動を通して洗練されると思います。高校生活を熱く一生懸命、本気で過ごすことの一つ一つが糧になると確信しています。

学会発表にて


■最後に
 私は嵯峨野高校時代、地学部の部長として活動し、特に天体観測を中心に宇宙に思いをはせていました。その時のメンバーとは今でも強い繋がりでつながっており、お互いの結婚式やふとした仕事でのコラボレーションなどで更に繋がりが強化していっています。人生において自分が出会う人など限られています。高校生活という青春の時間を共に過ごした仲間や恩師というのは一生の宝物になります。本気でぶつかり、本気で悩み、本気で考え、その一つ一つがきっと将来の自分の糧につながります。嵯峨野高校はとてもユニークな生徒が集まる学校と思いますし、とてもユニークな先生方が多いと思います。そんな多様性の集まりの中で、本気で過ごした時間は、きっと自分を豊かにし、自分が社会に貢献する立場になった時に大きな力になると確信します。みなさん、頑張ってください。

 2021年診察室にて

 
■おまけ
※国際活動に興味のある皆さんに参考となるサイト♪
私の弟がJICA(Japan International Cooperation Agency; 国際協力機構)で活動し、現在は次のステージで活躍中です。また、弟の奥さんもNETFLIXなどの海外コンテンツの字幕翻訳やブログ活動など、子育てしながら海外で活躍中です。もし興味があれば一度覗いてみてください♪
こういったものは"縁"の積み重ねだと思います。皆さんの新たな可能性の扉を開く一助になればと思って紹介させていただきました。


↓↓青年海外協力隊!ソロモン!教師! - ライブドアブログ (2015年7月~2017年3月)
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